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可変抵抗(ポット)のハウジングにハンダ付け

図1のような可変抵抗(ポット)の金属製ハウジングにハンダ付けを行う際、ハンダが表面に馴染まず、図2のように球状に凝集してしまう現象が起こります。この球状のハンダは、わずかな衝撃で剥がれやすく、接触不良の原因となるため困りものです。
図1
図1 可変抵抗(ポット)

図2
図2 球状のハンダ
どうすれば可変抵抗のハウジング上で平面的に広がったハンダ付けができるでしょうか?下に私なりのハンダ付け手法を示します!
  1. 適切なハンダごてを使う
  2. 可変抵抗の金属製ハウジングは、ハンダ付けの際に熱が逃げやすく、十分な温度を維持することが難しいです。このため、「高出力(例えば90Wなど)のハンダごてを使用する」または「負荷変動に強く、こて先の温度を常に一定に保つ温度制御機能付きのハンダごてを使う」ことで対策します。
  3. ハウジングのハンダ付け箇所をヤスリで磨く
  4. 可変抵抗のハウジング表面には、通常、錆び防止の表面処理が施されています。この表面処理層が原因でハンダが適切に濡れ広がらず、密着不良を引き起こします。そのため、ハンダ付けを行う前に、ヤスリやサンドペーパーなどの研磨材で表面の加工層を除去し、表面を粗らすことでハンダの食いつきを向上させることができます。さらに、表面に塗布されているグリースなどの油分も同時に除去できます。
    削りかすの金属粉が可変抵抗内部に入ると大変なことになりますので、開口部のある可変抵抗の場合は、開口部をマスキングテープなどでふさいでから削りましょう。
  5. フラックスを塗る
  6. ハンダにフラックスが含まれているものの 不十分な場合にはフラックスをハンダ付け箇所に塗りましょう。
  7. ハンダ付け箇所にハンダをあてて温めてからハンダを融かす
  8. 通常に比べて熱が逃げやすいので、ハンダ付け箇所をハンダごてで予め温めます。 あまり長い時間当てると可変抵抗が駄目になるので気をつけて下さい。 また、可変抵抗がとても熱くなるので、やけどしないように注意してください。

余談
以前、練習スタジオで演奏中に突然ギターの音が出なくなるトラブルに見舞われました。ピックアップから伸びるグラウンド線が可変抵抗の金属製ハウジングから外れてしまったのです。ギターの配線を自分で調整したときに、ハンダ付けが不十分だったことが原因でした。
「もし、これがライブ本番で起こっていたら…」と想像するとゾッとしました。同時に、中途半端な知識や技術で電子工作に手を出すことの危険性も痛感しました。

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